情報がつながり動く世界観の再定義。小売業界の課題を情報を繋げることで解決する「売場ウォッチ」
皆さんこんにちは!note編集部の福井ちゃんです🐤
ネクスウェイは届けたい情報を、受け手が受け取りやすい形で送ることをサポートするサービスを展開しています。
しかしそれだけではなく、小売や医薬など業界に特化した課題を解決するサービスを提供しているんです!ご存じでしたか?
今回はその中でも「売場ウォッチ」について、商品企画・開発・営業に携わる3名に伺いました。
今回お話を伺ったのは…?
「売場ウォッチ」とはどんなサービス?
◇覚前さん
「売場ウォッチ」は「オンライン臨店サービス」と言って、今までお店に行かないと分からなかった売場の状況を、カメラを使ってオンライン上で確認できるサービスです。
売場にカメラを設置してもらい、15分毎に売場の写真を取り、それを確認することで、今までわからなかった実態や課題が見え、より良い売場にするための課題解決や業務効率化を支援しています。
◇覚前さん
現状はスーパーマーケットのお客様がほとんどです!
◇丸尾さん
スーパーマーケットの強みって、新鮮なものや作りたてで美味しそうな商品を自ら選んでが手に入れられることだと思います。
だからスーパーマーケットは毎日様々な商品や原料の仕入れをするし、それ合わせて売場内に並ぶ商品がよく変わるので、朝と夕方で並ぶ商品が違ったり、1日の中で商品の並びを何度も動かす売場があります。何度も変化する売場の状況を人間の力だけで捉えることは現実的ではありません。
そういう意味で、定点で現場のリアルな情報を保管できる「売場ウォッチ」はスーパーマーケットのお客様に使っていただくことが多いです。
◇覚前さん
生鮮食品やお惣菜売場で使われることが多いです。
例えば、お惣菜売場では、お惣菜を美味しそうに見せるライトがあるのですが、そのライトを設置するライトレールにガチャっとはめる形でカメラを設置いただいてますね。
◇山下さん
カメラは卵型なんですけど、割と小さくて10cm弱くらい。iphoneより小さいくらいです。でも実はもっとカメラを小さくしようと考えてます…!
細かく開発と効果検証を繰り返したどり着いた新サービス
◇丸尾さん
ネクスウェイは2016年に全社の事業ビジョンを“とことん現場感を持って、伝える・伝わる・つながる・動くを実現します”に変えたんですよ。
当時も今もネクスウェイはコミュニケーションをデザインする会社なので、伝えるから動くまでを「メディア」が媒介する前提のサービス展開をしていました。
その中で、どういうコンテンツ、タイミングなら最も効果的に狙ったコミュニケーションが図れるのか「人が」考えることが一般的でした。
ただ、「伝える・伝わる・つながる・動く」というビジョンは、テクノロジーやデータを起点として、情報伝達のプロセスに人が介入しなくても、情報がつながり動いていくという世界観を実現できるのではないかと考えました。
その時に考え付いたのが“カメラを使うことで現場のデータが取れる”サービスです。撮影して蓄積されたデータはAIによって理解され、情報になり、これによってサービスをご利用いただくユーザーの認識できる世界が広がる。そうすると、行動を変える機会を生むことに繋がると思っていました。
つまり、カメラが映す現場の事実から、ユーザーや世の中が「動く」に繋がっていけば、テクノロジーやデータもコミュニケーションの土台になり得ると思ったのです。
◇丸尾さん
ネクスウェイは昔、テクノロジーを題材として活動する組織を作り、ネクスウェイの既存事業と親和性の高い領域から新規事業を作ろうとしていました。
そこで小売業界に対象を絞り、その中でも来店客の動向がわかるテクノロジーを持ち込んだら、どんな価値が生まれるのかといった観点で検証の企画設計と実装を行いました。
しかし、いざ検証をすると、売場には什器や商品がたくさん置いてあってカメラで撮影するには死角が多かったり、人がたくさん来るため人が重なって見えたりと物理的な制約が多く、AIに必要なきれいなデータを作ることが難しい状態でした。
また、情報に変えることができるデータが揃ったとしても、ECの売場とは状況が違って、毎日の様に売場の什器を変えたり、商品や広告を出し分けたりするといった活用が適いません。
お客様にとっては現場の実態に即して繰り返しアクションを取ることができる情報ではないので、良い解決策にはなりませんでした。
なので、来店客に焦点を当てたデータやテクノロジーの有効活用はとても難しいという課題がありました。
◇丸尾さん
そうです。課題を見つけた時に、あるお客様から「AIもセンサーもいらないから、カメラで売場のリモートで見られるようにしてほしいんだよね」という声をいただいたんです。
当時の僕たちは、新しくて、今までにない面白いサービスを作ろうと技術優位な考え方をしていましたが、顧客に求められているものは技術ではなくソリューションだと深く学びました。
そしてカメラで撮影した定点の画像が見られることは、今まで見えていないものが見えるようになるということ。
時間軸を移動して過去や現在を行き来できること(※)はお客様にとって価値であることに気付き、画像を並べたり検索できるシンプルなサービスをつくることにしました。
※「売場ウォッチ」は、日時や時間を入力し画像データを検索することで、見たい時間帯の売場の画像データを確認することができる。
◇山下さん
これまでのネクスウェイのサービスは、いわゆるトランザクションのサービスが大半で、機能も仕様もシンプルなので、FAXサービス開発の知見を活かし、横展開するイメージで開発を進めていました。
しかし「売場ウォッチ」は業務SaaSのサービスなので、これまでのサービスとは開発の仕方が違うなと思います。
業務SaaSはかっちり市場が決まっているわけでもないし、お客様も答えを知っているわけではない。だから小さく作りながら、検証していくことをしていました。
◇山下さん
2週間に1回リリースして、お客様のありたい姿や課題を踏まえて、どう価値提供するのかは強く意識しながら、細かく効果検証をおこないました。
この部分は既存の事業開発とは違う部分ですね。
お客様の課題に気付いた瞬間
◇山下さん
最初に丸尾さんが言ってくれた「売場の画像データをリモートで見られるようにしてほしいんだよね」という声がきっかけですよね。
◇丸尾さん
お客様から現場のリアルな声をいただく前は、カメラで来店客の行動を追って、どんな行動をするのか、どこに何秒止まって、何秒商品を見たのか、ひたすら来店客を分析していたんです。
でも来店客の行動よりも現場のオペレーションを見られる方がお客様の成果につながることが、いただいたフィードバックからよくわかりました。
一方で、現場のオペレーションを確認する業務は実際にお店へ出向かないとできないアナログな業務で、行ったその時の状況しか分からないので、行く意味があったのか、
日頃適切なオペレーションが実施できているのかといった評価や振り返りができなかったそうです。
だから、お客様の業務にお役に立てることを第一義として来店客から売場へ、動画から写真へと路線変更して、今の売場ウォッチができたというわけです。
「売場が見えること」で働き方も理想の売場も作れる!
◇覚前さん
お客様から「今までは店舗を巡回して『こうだったね』とコミュニケーションしていたものを、お店の売場を一通りリモートで確認した上で、行くべき店舗の優先順位をつけて臨店できるようになった」という声をいただいています。
それによって、オンラインで指導したり、行く店舗の優先順位をつけられたり、店舗を巡回して指導をする社員さんの働き方、業務のあり方が変わったという話はありますね!
◇覚前さん
あともう1つは、お惣菜の作りすぎや売れ残りなどがわかるので、食品廃棄ロスの削減に繋がるということもありましたね。
売場の状況が画像データで確認できて、それがデータとして蓄積されるので、どれくらいの時間にどれくらいの量の商品が出ていて、どれくらい売り残りが出るのか、売り切れるのか確認することができるんです。
それを基に、例えば夕方5時に唐揚げが売り切れている状態だったら、明日は今日よりも多めに作れば6時に来たお客様にも買っていただけるだろう…というように欠品を減らすことも可能です!
食品廃棄ロスは環境問題もそうですが、売れれば利益になり、残ればコストになるものでもあるので、売上アップ、利益アップにも貢献していると思っています!
◇覚前さん
お客様が来店してくださった時に、自分の欲しい商品がある状態をつくることがスーパーマーケットさんにとってありたい姿だと思うので、そういうところも支援できているのかなと思ってますね!
人手不足に困っている小売業界を支えるサービスを
◇丸尾さん
そうですね。最初は人に優しいサービスでありたいと願っていましたが、小売業界は人手不足で本当に困っているんですよね。
だから人がやるべき業務を“減らす・奪わない”という発想ではなく、“無くす”くらいの考えじゃないと困る業界だと感じています。
◇丸尾さん
ネクスウェイの仲間は、人に対してとても優しい気持ちがあるから、現場を知るとすぐに助けたい!今ある課題を解決したい!という気持ちが高まる印象があります。
しかし、様々なお客様の現場に行き、お話を事細かに伺うと、目の前の問題の解決や「優しさ」だけでは現場は助からないと思ったのです。
例えば最低賃金の問題です。働く人によっては「扶養の壁」と呼ばれる問題によって収入の上限を決めており、時給が上がれば上がるほど働ける合計の時間は短くなるのです。
企業側から見ると同じコストで労働量が減る、という見方もできます。
だから最低賃金が上がっていくほど、人手不足の業界はもっと人手がなくなるので、業務を減らすよりも業務そのものを無くすことや問題そのものの認識から問い直すことが重要だと、特にこの半年は強く感じています。
◇丸尾さん
「人がいないのに、人件費は増える」と、お客様の口からポロッと出てきた一言があったからですね。
現場から経営まで様々なセクターの人と正面から向き合えたり、関われることが多いので発見できた、とも言えます。このことは非常にネクスウェイらしい点だと思います。
情報を届けるサービスから情報で"動かす"サービスへ
◇山下さん
今の「売場ウォッチ」では、スーパーマーケットさんに対しての価値提供を行ってきていますが、カメラが広まっていくとデータが蓄積されて、メーカーさんなど他のプレイヤーの方に価値提供できると思っているんです。
なので今後の展望として、カメラをより多くの売場に届けることや画像分析の分野には取り組んでいきたいですね!
◇丸尾さん
最初に話したように「伝える・伝わる・つながる・動く」という世界観は、必ずしもメディアや人間がすべてに媒介しなくてもいいと思うのです。重要なのは情報で世の中を動かすことですから。
画像解析というのは、特定のデータから何を読み取り、内容をどう解釈して、その結果をどの様に情報編集すれば最も高い成果が出せるのか…という情報を作るきっかけだと考えています。
当然私達が行う画像解析の起点となるデータは「売場」になりますし、それはつまり現場の方々の「想いのこもった業務の結果」ですから、そこから情報をつくることができれば、小売業界で働く方々のお役に立つことができる。
更にその情報は「売場」に関わるあらゆるステークホルダーにとっても意味のあるものになる可能性がありますよね。
◇山下さん
そうですね。あくまでベースコアになる価値はスーパーマーケットさんに寄り良い売場を作ってもらうための情報ではありますが、その上にこのようなチャレンジもしていきたいなと思っています。
小売業をサービス業へ!
◇丸尾さん
小売業という業態がサービス業になると思います!
「リアル店舗ならでは」「店舗運営DX」など聞き馴染みのある言説や、これまで伺った様々なお客様のお話を踏まえると、小売業はこれまでとは違うビジネスモデルに変わっていく兆しが見えてきます。
それは、モノを置いて販売する従来のビジネスモデルではなく、お客様のニーズに合わせてサービスを提供するというモデルなのだと思うのです。
そうすると、お客様の最接点である現場では、お客様に合わせるための「データ」が必要となってきます。
この「データ」を活用することで仕入れや販売プランそのものが有機的なものに変わり、モノを売る以上の付加価値があればお店の役割も変わっていくのだと思います。
また、ビジネスモデルが変われば、現場で働く人の役割や報酬も変わって、賑わいがあり、より個性のあるお店が増える…、そんな未来を考えています!
そのためにも、データを整備して現場で活用していただける情報に変える仕組みを頑張って作っていきます!
【まとめ】現場の情報を繋げてお客様の課題解決へ
今回は、オンライン上で売場の状況を確認できる「売場ウォッチ」に関わる3名にお話を伺い、開発までの道のりやサービスの面白さ、未来について記事にしてみました。
「売場ウォッチ」はネクスウェイのこれまでのサービスとは開発の流れが違い、細かく効果検証をおこない生まれたサービスですが、
現場で業務をしているお客様との対話から課題を発見していることがネクスウェイらしいなと感じました♪
また今後の展望として「小売業をサービス業へ」というお話が出た時には、お客様の目指す先を一緒に見つめるようにサービスに向き合っているんだなと感じました☺
今回の記事で、ネクスウェイのビジネスの面白さやネクスウェイらしさを感じていただけたら幸いです💭
引き続き、ネクスウェイのビジネスの裏側を知る記事を執筆していきます!
次回の記事もお待ちくださいね!
他のカテゴリはこちらからご覧ください↓